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野々宮薫子

【概要】深草侯爵高道と董子の長女。

16歳で五歳年上の隣家野々宮伯爵家跡取尚高に嫁ぐ。

初恋の人尚高の二面性ある姿に戸惑い、その中で尚高への気持ちがゆっくりと変化していく。

結婚前より妾がいることに傷つき、一時は尚高への復讐を誓う。

侯爵家の息女としての誇りを常に意識し、誇りを傷つけられることを一番に厭う女性。

凛とありながらも心に脆さと強さの両面性を抱く。キリッとした気丈なる美女。時折幼さが滲む。

野々宮尚高

【概要】当摩の嫡子。時期の野々宮伯爵の地位を継ぐ人。

21歳の時に隣家の「妹」の如し存在だった薫子と、父の命令で結婚する。

温厚で人のよさげな青年を演じ、押さえ込んでいる自我が時折暴走し二面性を作り出していた。

数年来夢子という女性を囲い、その間に二男一女を儲けている。常に世継ぎに執着するところあり。

薫子に対して名門の息女という劣等感もあるが、いつしか「妹」から女性として意識するようになる。

徳山透

【概要】野々宮家に書生として住み込む福島出身の青年。

野々宮家とは父親が知人同士。透が20歳の時、三歳年上の薫子と出会う。

一目で薫子は引き寄せられ、それが恋だと認識することになるが、同じく透も薫子に懸想を抱く。

快活でやさしげな風情。秀麗な表情が微笑むと人目を惹く。ドイツ語が堪能で、その能力をかわれ

貿易会社の役員にまで若くして出世する。役員にまで若くして出世する。

野々宮悠子

【概要】薫子と尚高の長女。

誕生と同時期に尚高は夢子との間に「一尚」が生まれ、悠子の顔を見に来ることも無かった。

それが薫子の尚高に対する不信感のひとつともなった。

おしゃまで新しいものが好きな女の子。幼いころから「お洒落」が大好き。

将来は大好きな母のようになるのが夢。

後に悠子が婿を取り、野々宮家を継ぐことになるが、家は没落していく。

深草桜子

【概要】薫子の五歳違いの妹。

その容姿が三歳年が違う弟高秀と瓜二つなほどに似ている。

生まれつき体が弱く、長くは生きられない、と医師に宣告されている。命に対して執着を抱かない。

家庭教師の男爵家長男と結婚となったが、夫の裏切りにより離婚。以来、深草家で静養。

育ちが良さげでおっとりとたおやか。気品があり優雅ながらも、人を和ませる気を持つ。

後に桜子が婿を取り、深草家を相続する。

深草高秀

【概要】薫子の八歳違いの弟。

その容姿は姉の桜子によく似ており双子のようだ、と昔から言われていた。年相応には全く見えない。

深草家の跡とりながら、昔から体が弱く、事あるごとに熱を出す。

自分は強い男は無理だから賢い男になろうと大学に入学。将来は父とは異なり陸軍には入らず、

宮内で侍従となることが目標。男としての力強さはなく、穏やかにやさしく消え入るように儚げ。